そば粉へのこだわり

「福井の玄そば」を「福井の石臼」で「福井の挽き職人」が丁寧に仕上げるということ

こだわり1福井の玄そば

そば粉の原料は福井県産(福井在来種)だけを使用

 福井県では昔から「福井在来種」を栽培してきました。「在来種」とは、その土地で昔から栽培されてきて、品種改良されていないそばのことです。改良された品種と比べますと、天候に左右され栽培も難しく、収穫量も少ないのですが、それでも福井県では、生産量よりも美味しさの方を優先して、県内全域で「福井在来種」を栽培しています。

 雪解け水が地面を潤わすと、濃い緑が一面を覆い、やがて実り多き季節へ。四季豊かな自然環境に恵まれる福井県は、長野や茨城など、日本有数のそば産地が並ぶ、北緯36度線「そばライン」上に位置しています。昼夜の気温差が大きい気候が特徴で、日中に実が育ち、夜間に栄養を閉じ込める。この繰り返しによって、小粒ながら実が詰まり、味わい深く香り高い「福井在来種のそば」が育ちます。

栽培から製粉まで自社にて「福井県産在来そば」の本質を追及

 そば粉の良し悪しは原料となる「玄そば」の質が大きく関係してきます。品質を落とさないための、収穫後の素早い作業と的確な乾燥作業、入念な調整選別を行う事により、製粉後に香り高く・味わい深いそば粉に製粉することができます。弊社の製粉所に併設されている乾燥調製施設では、そばの実に負担をかけぬように、出来上がりまで時間と手間をかけ仕上げていきます。生産管理から乾燥調製まで自社にて行う事により、「福井県産在来そば」の本質を追及しております。

福井県産そばの実力を引き出すための3つのこだわり

  1. そば本来の香り・旨味品質を損なわないように、乾燥温度は低温でゆっくりと時間をかけて行う。
  2. 一次乾燥で水分率を16%程度まで落とした玄そばを、乾燥機より取り出し一週間程度養生をさせる。養生後の二次乾燥で水分率を14.5~15.0%程度までゆっくりと調整乾燥させる。
  3. 選別調整では徹底的に割れた実や質量の軽い実などは厳選して取り除くことで、しっかりとしたそばの実だけを袋詰めを行う。

こだわり2福井の石臼

福井の玄そばを挽くためだけに、福井県産「小和清水石」の石臼

 当社の石臼の石はすべて福井県産「小和清水こわしょうず」の石を使用しています。福井県福井市(旧美山町)の小和清水は江戸時代の初期より石臼の産地として知られておりました。その石質は小粒な福井のそばを挽くのには最適であり、非常に質の良い硬度と緻密な組織を持っています。

Re-Born(再生)深い眠りについた石臼に命を吹き込む

 当社で使用する石臼は、十数年かけて福井県内を探し続けて入手した年代物。石臼が使われなくなってから既に半世紀以上、もしくはそれ以上経過してるのかもしれない深い眠りについていた石臼です。長年使われたのか?長年放置されて風化したのか?臼の溝は相当減っている。表面も劣化している。手に入れた石臼はそのままでは使えません。しかし、古いものほど石の粒子が細かく、質が良い。その石臼に再度命を吹き込む、「再生加工」と「目立て」を行い、再び目を覚ました石臼で挽いたそば粉は、キメが細かくしっとりとしていて、食感の良さや風味の良さを得ることができます。

ものづくりの技術から生まれた自社製石臼製粉機

 当社の石臼は、ものづくりが好きな先代が一から設計を行い、石臼の再生加工(すり合わせや目の切り)から、動力部・枠組みまで全てにおいて自社にて製作されたものです。製粉機構造の全てを理解していますので、修理・微調整、目立てなど、その都度自社にて行っています。また、挽き職人が石臼と毎日向きあうことで、日々上下の石臼の擦れ合う面の状態や、原料が石臼の中を送られていく時の塩梅、石臼の回転数の変化など、動いている石臼のわずかな声の変化を感じることから、粉挽きの命ともいえる石臼の変化にすぐに気づき対応することで、一年を通して品質を落さずにお客様のお手元にお届けすることが可能となります。

こだわり3福井の挽き職人

昔ながらの石臼挽きが、風味豊かで香り高い質のよいそば粉を生み出す

 そば粉の製粉方法には、石臼挽き製粉とロール挽き機械製粉が挙げられます。作業効率やそば粉の生産量の点をいいますと、明らかにロール挽機械製粉に軍配が挙がります。しかし、作業効率は悪く、一日に挽けるそば粉の量も限られてきますが、当社では石臼挽きによる製粉だけを採用しています。原料となる玄そばをすりつぶして粉にするという昔ながらの原始的な方法ですが、石臼で低回転で挽くことにより、蕎麦の命ともいわれる「香り」や「風味」を失わずに味わいよいそば粉を挽くことができます。

五感を研ぎ澄ませ、品質を追求する福井の粉挽き職人

 玄そばの状態や、季節や時期による気温・湿度の変化まで考慮。製粉前の精選処理から挽く工程、そしてふるいにかける工程まで、福井の粉挽き職人が五感と経験を頼りに状態を見守り、そば粉になるまでの「一つ一つの工程の作業を丁寧に確実に行うということ」を心がけています。

一日に挽けるそば粉の量はごくわずか、それでも一挽き入魂

 ゆっくりと回転する石臼で挽けるそば粉の量は、一時間で約2kg程度です。製粉前の玄そばの精選前処理から製粉後の仕上げふるい作業まで、全て挽き職人が手がけていますので、一日に挽くことのできるそば粉の量は限られてきます。それでも、石臼挽きでの挽き職人の手仕事にこだわっています。福井の小さな粉屋は、大量製粉される「製粉工場」ではなく、一挽き一挽きに入魂する「製粉工房」です。

挽きあがったそば粉は、手でつかむとしっとりとしていて指のあとがしっかりと残る

 挽き職人が入魂したそば粉は、手でつかむとしっとりとしていて指のあとがしっかりと残ります。これはそば粉自体に適度な含有水分があり、そば粉がキメ細やかであるためです。蕎麦を打つときの扱いやすさやまとまりやすさとも直結しており、無理なく打った蕎麦は、出来上がりの香り・風味・味わいなどの持ち味を十分に引き出すことができます。