「挽きぐるみとは一風変わったそば粉を試してみる」
4月になりまして新年度を迎え、消費税改定の件もあり何かとバタバタしながらの始まりでございました。先月より時間のあるときに以前よりお客様からのお問い合わせや要望の多かった件についての作業を行っておりました。
「違う種類の蕎麦粉が使ってみたいとのご要望がありました」
特選そば粉(挽きぐるみ)以外に違う種類のそば粉が使ってみたいというお問い合わせも多く、また現在の色よく、キメ細やかに仕上げた特選そば粉(挽きぐるみ)とは一風変わった蕎麦粉を使いたいとのお話を多くいただきました。そのような要望にお答えできますように”田舎挽き”の蕎麦粉の製粉を試作しておりました。
現在の特選そば粉(挽きぐるみ)は入念に前処理をおこなった玄そばを殻ごと砕いたもの(挽き割り)を、粗めのメッシュのふるいにてふるうことにより、限りなくそば殻を取り除きます。取り除いた後に石臼にて入念に挽き上げます。挽き上げたものを60メッシュのふるいにかけることによりキメ細やかなそば粉に仕上げております。キメ細やかな微粉で蕎麦も打ちやすく、色は抜き実挽きに近い色合いで且つ蕎麦の香り風味甘味がるそば粉に仕上がっております。
今回の試作では石臼の調整と一回転の原料落下率やふるいのメッシュを数種類変えての試作となりました。色は既存の蕎麦よりも色濃く、野趣溢れる香りと味を引き出したそば粉に仕上げてみることにしました。
福井県でも”越前おろし蕎麦”が有名で、基本的には色濃い太めのお蕎麦の上に大根おろしをのせて食べます。大根おろし汁と一緒に太めの蕎麦を噛みながら食べることにより、蕎麦の甘さや風味を大根おろしの辛さが際立たせる食べ方です。そんな「越前おろし蕎麦」に合うようなそば粉に仕上げてみたいと思っておりました。
「~余談~日本全国各地の蕎麦切りの太さ」
余談でございますが、日本全国各地の蕎麦切りの太さを調べて見てみると、蕎麦の名産地(※参考1)の郷土蕎麦は切り幅が太くなる傾向にあるみたいです。太い蕎麦を噛みしめながら食べると、蕎麦自体の美味しさ(味・香り・風味等)を十分に楽しむことができます。だから、蕎麦粉の美味しい地方では、自然に太い蕎麦を食べるようになってきたのかもしれません。
※参考1:我が福井県も蕎麦の名産地として段々と全国的にも知られてくるようになりました。1月末に農林水産省から発表された「平成25年産そばの作付面積及び収穫量」についてでは、福井県は作付面積においては3,850haでありました。(北海道22,200ha・山形4,940ha・福島3,830ha・長野3,890ha)となっている。
「各種製粉後の粉質を比較してみた」
撮影状況が悪かったためこの写真では粉の状態ではっきりと違いが解りづらいかもしれませんが、蕎麦粉現物で見てみると色の違いがよく解りました。
「水を加えて練ってみるとそば粉の違いが良くわかる」
田舎挽きしたものはホシとも呼ばれるソバの殻を細かく挽き込んだ黒いホシが多めで、茹で上げた時にも野趣あふれた出来上がりが楽しめます。蕎麦玉を練り上げ終えた状態でははっきりと違いが見えてきます。田舎挽きAとBでは仕上げメッシュをなどを変えております。田舎挽きですと打ち辛いかとも思われましたが今回九割蕎麦で試してみましたが、挽きぐるみより数%加水率が高めになりますがひび割れることなく打つことができました。
「茹で上がりの状態では違いは一目瞭然」
茹で上げた状態では挽きぐるみと田舎挽きでは一目見てはっきりと違いが見えてきます。挽きぐるみで打ったそばは、蕎麦麺の表面がなめらかでツルツルとしたのど越しが楽しめます。蕎麦だけをツルツルとすすりながら一口噛むと、香りが口の中に爽やかに広がります。塩だけで食べてもいいかもしれません。田舎挽きは双方とも色黒く、噛みしめると甘味・蕎麦の香りがあり、なんとなくモッチリとした粘りがあるように感じられました。太め切りでコシのある蕎麦で”越前おろし蕎麦”を食べるのにいい粉になりました。
「田舎挽きのサンプルお試しでは良いご評価を頂きました」
田舎挽きサンプルをお試しで使っていただいたお客様達にも評判は上々で、「また使ってみたい!」とのお声もいただきました。弊社は小さな小さな町の粉屋さんレベルの規模でございますから一日に挽ける蕎麦粉の量は限られております。一日に挽き上げた分だけを挽きたての状態で出荷できればいいと思っておりますので、現在一日に挽いている製粉量を増やすつもりもありません。落ち着いてじっくりと製粉作業ができる状態に体制を整え、”挽きぐるみ”と”田舎挽き”の両方を安定して挽けるようになりましたら、”田舎挽き”もそば粉商品のラインナップに加えていけたらなと思っております。