名古屋の「手打ちそば処くろむぎ屋」に行ってきました。

「名古屋の手打ちそば処くろむぎ屋さんの蕎麦は細打ちの綺麗な蕎麦だった」

先日は日曜日の定休日を利用して汽車を乗り継ぎまして、 愛知県は名古屋市まで出張に行ってきました。向かった先はJR名古屋駅から地下鉄に乗り数十分、名東区にある「手打そば処くろむぎ屋」さんです。ちなみに何故お蕎麦屋さんなのに「くろむぎ」なのか・・・

「お蕎麦屋さんなのになぜ”くろむぎ”?」

古代日本ではソバのことを「そばむぎ」、「くろむぎ」と呼んでおりました。後世には「そばむぎ」が略されて「ソバ」と呼ばれるようになり、ソバの異称の「くろむぎ(黒麦)」は平安時代以降は使われなくなり、後にライムギの異称として使われたとのこと。

「くろむぎ屋さんは名古屋の閑静な住宅街の近くにあった」

 交差点の角に位置しますお店に入りますと、カウンターが8席にテーブル席が2卓の席は満杯で立っておられるお客様もおりました。開店が11時30分からでしたが、着いたときはまだ12時少し前でした。

手打そば処くろむぎ屋の看板
「手打そば処くろむぎ屋」

くろむぎ屋さんにお伺いした訳は、長年手打ちのお蕎麦屋さんをご夫婦でご経営なされていましたがご店主様もお年を召され、お体の事もあるのでしょうか?1月末にてお店を閉められるとのことで、是非一度直接お礼のご挨拶がしたかったためでした。

確かに蕎麦打ちは案外と体力が居るもので、長年蕎麦を打っていると手首や腰など結構体に負担がかかるものです。本当はその前にも一度ご店主様の打ったお蕎麦を食べに行きたかったのですが、中々行くことができず今回行ったのが最後になってしまうのは少しばかり残念でした。

 店内では、ご常連さんや近隣の方と見られる子供さん連れの若いご夫婦、お孫さん娘さんと一緒に来られているご夫婦さん。かなりなご高齢のおじいちゃん、おばあちゃん等などのお客様と、朗らかな感じのご店主様が閉店を惜しまれるご挨拶をしておりました。中には店内の様子をお写真に納めておられるお客様もおられました。くろむぎ屋さんはずっと地元に愛されていたおみせだったんだなぁ~と実感。

「名古屋に来ても頼むのはおろし蕎麦」

しばし待ち、カウンター席に座ってお蕎麦をご注文。「白えびのかき揚げ丼とおろし蕎麦のセット」をいただきました。

くろむぎ屋のかき揚げ丼とおろし蕎麦
「白えびのかき揚げ丼とおろし蕎麦のセット」

細めに仕上げた蕎麦はそれでもしっかりとしたコシがあり、まずは蕎麦のみで食べてみると口の中に蕎麦の香りがふうわりと漂います。今度は大根おろしを混ぜてひと口食べると大根の辛みが後からガツンとやってきて、その後にお蕎麦を噛み締めると蕎麦の甘味が際立ってきます。お出汁も気持ち甘味が出てきますがしつこくなくおろし汁との相性もバッチリです。最後にそば湯を頂きお腹もいっぱいになり、ご店主様にご挨拶をして店を後にしました。

くろむぎ屋の細打ちのお蕎麦
「シャキッと〆た細打ちのお蕎麦」
サクッとした食感の白えびのかき揚げ丼
「白えびのかき揚げは噛みしめるとえびの風味が」

「蕎麦でつながるご縁に感謝」

今回改めて思ったことは・・・自分達の仕事ってただ蕎麦粉を販売しているだけではないんだなぁということでした。蕎麦粉を使っていただいた先にあるものは、お蕎麦を打っている時の楽しさ。素晴らしく打ちあがった時の感動を。そしてお客様が打ったお蕎麦を大事な人に食べていただくときの喜びも。そして、もちろん食べていただいた方に「美味しい」と感じていただくためのお手伝いをしているんだと感じました。

さっぱりとした蕎麦湯
「蕎麦湯でほっと一息」

以前「この蕎麦粉なら蕎麦を打つのが楽しいよ」とおっしゃって下さいましたご店主様。お仕事での蕎麦打ちは毎日の事ですから、気持ちがのらない時もあるかもしれないし、体調的に辛い時もあるかもしれないです。でもそんな時でも楽しんでお蕎麦を打っていただいてくださり、蕎麦粉挽き屋としては本当に感謝感激でございます。お蕎麦を通じてせっかく頂いたご縁でございます。お店を閉められても是非今後とも繋がりを頂きたいと思っております。落ち着きましたら是非今度は福井に遊びに来ていただきたいですね。

今後ともたくさんの人に喜んでもらえるように「挽き」に頑張っていきたいと思います。おかげさまで誠にありがとうございます。今後とも何卒ご愛顧のほどお願い申し上げます。